「きょーやー、起きてよー」
先程から声をかけても恭弥はぴくりとも動かない。起きていたらどうせお決まりの言葉を言うんだろうけど。
「悪戯しちゃうぞー?キスしちゃうぞー」
ふざけて言ったのに、いきなり腕がぐいっと引っ張られる。
「ほえ?」
いきなりのことに体制を崩した私はソファで寝ていた恭弥の上にぼすんと乗ってしまう。
なんだか、私が押し倒したみたいに。
恭弥を見ると不敵な笑みを浮かべた顔があった。

「起きてたの?」
「もちろん。それよりも、」

言葉の前に手首をつかまれて、目を開けると今度は恭弥の顔が真上にあった。
恭弥は私の耳で囁く。

「キス、してくれないの?」

吐息が耳に直接伝わって、顔が熱くなる。そう言ったあとに恭弥は私の耳を軽く咬む。
「うっ…あれは恭弥を起こすために言ったっていうか…」
「ふーん、じゃあキスしてくれないんだ。」
少しだけいじけた少年の表情を浮かべて。そうポツリと恭弥は呟いた。

「じゃあ、僕が     」

「なっ…!」
恭弥の言葉に思わず顔を赤らめてしまう。
自信たっぷりに呟いた恭弥はすぐに私にひとつの花を残した。

「君は僕のものなんだから」
今度は私の知らない大人の顔で恭弥はそう言った。



キスしてあげる


(私を甘やかす彼の瞳には私と淡いぴんく色の空が映っていた)


Another Day

「あぁ、そうそう。」
「何、恭弥?」
「君、これからは応接室で授業受ける事になるから」
「は?先生をわざわざ呼ぶの?」
「まさか。僕が教えてあげるんだよ」
「何を?」
「君の知らないことを色々、ね?」
「嘘おおお!!」

私の日常が崩れる。愛しの彼の手によって――


あとがき。
雲雀さん大好きだぜ←
短くも色々とつまってれば嬉しい
なんだか書いていて恥ずかしくなった自分…
また何処かを反転すると変な後日談が表示。勇者様はぜひ読んでやってくださいませ。

2009.01.17 初書き。