これはあたしがユウに会いに行く前の談話室でのほんの数分の出来事。
「ねぇ、ラビ。ユウって蕎麦好きじゃない?」
「ん?あぁか。そりゃあユウは蕎麦人間だから好きに決まってるさぁ。」
「そこで聞きたいことがあるんだけど…」
「…?」

「ユウは蕎麦とあたし、どっちが好きなんだと思う?」
「………」

「ラビ?」

「ぶっ!はははははは!!!」
いきなりラビが大笑いを始めた。あたし別に変なこと言ってないじゃない!
「な何よ!!?」
「だってがすっげぇ真剣な顔でそんなこと聞いてくるから…はは!」
何よ、ラビったらお腹抱えて笑ってる…ムカつく…
「イノセンス発動!!花…」
「ちょ!たんま!イノセンスは勘弁さ!!」
仕方ないなぁ…やめてあげるか…。
「ふぅ、危なかったさ。…ではなんでそんなこと考えたわけ?」



「えっ?」



「だって俺に聞いてきたってことは結構真剣に悩んだんだろ?」
うっ。なんでこんなときだけこいつは勘がいいんだろう…
「まぁ…そうなんだけど…」
「なんかあった?」
「実はさ、前勝手にユウの部屋で遊んだのよ。」
「(勝手にかよ…)それで?」
「そしたらユウの部屋には珍しく本があったの。」
ラビは相槌を打つ。
「問題はその本なのよ!!」
「どんな本だったんさ?」
「それが植物栽培の本なの!!あと蕎麦打ちマスターって本!!」
「…」
「あのユウがこんな本読んでたのよ!?植物栽培はまだ分かるけど蕎麦打ちマスターよっ!?」
「……」
「で、ここまで蕎麦が大好きなユウはあたしと蕎麦、どっちが好きなんだろうって思ったわけ。」
「(なんかユウが可哀そうに思えてきたさぁ…)」
「ラビ?どう思う?」
「それをユウ本人に聞けばいいと思うさ。きっとその質問の答え、教えてくれるさ。」
「そっかなぁ…」
ユウ本人に聞く…かぁ。なんかすごく馬鹿にされそうな気がする…でもやっぱ聞いた方がいいかも。本当のこと知りたいし。
「兎っ!ありがとう!早速食堂に行ってユウ本人に聞いてくる!」
「兎じゃねぇって!!」
なんかラビの否定の声が聞こえたけど気にしない!とにかく今はユウを探さなきゃ!




「あら、おはよう。急いじゃってどうしたの?」
…!!リナリー!相変わらず可愛いなぁ…じゃなくてっ!!
「ねぇ、リナリー!ユウ見なかった??」
「神田?多分自室にさっき戻ったと思うけど…」
「ありがと、リナリーッ!またあとでねっ!」
「ふふ。どういたしまして。いってらっしゃい。」
やっぱリナリー癒される!じゃなくて!ユウの部屋に行かなきゃ!





ふーっ!やっと着いた。ユウいるかな?
コンコン。大きめにドアへノック。だけど返事がない。
ユウ、なにしてんのかなぁ…もしかして蕎麦打ち!?ユウに何よりも蕎麦が好きとか言われたらどうしよ!?
そんなこと言われたらあたし死んじゃう!あぁ、今からでもリナリーに慰めてもらおうかな……!!!??
「オイ、そんなところで何やってんだ?」
聞き覚えのある声…もしかして…
「ユユユユユユウウウ!!??」
「頭大丈夫か、お前?」
なんか目の前にいつのまにか神田さんいるじゃないですか。ははは、どうしよう。
「いやぁ、頭は大丈夫だよ。それよりもさ、ひとつ聞きたいことがあるの!!」
「聞きたいこと?何だ?」
こうなったら当たって砕けろ!砕けちゃだめだけど気になるから聞こう!!
「ユウってさ、蕎麦とあたし。どっちが好き!?」
「……ハァ!?」
うわぁー聞いたはいいけど、滅茶苦茶不機嫌な顔してるよ…。
「だってさ、神田は蕎麦打ちする位蕎麦が好きでしょ?もう一方のあたしは恋人。ユウはどっちの方が好きかなとか思って…」
「バーカ。」
…うっ…馬鹿ですよ。でもなんかユウ笑ってる…?
に変えられるものなんかあるわけねぇだろ?」
あたしの耳元でそっとユウが囁いた甘い言葉。
「えっ、じゃあユウは蕎麦よりあたしの方が好き?」
「当たり前だろ?何、変なこと聞いてんだよ?」
そう自信満々に宣言されたあたしはすごく嬉しくて。それと同時にすごくユウが愛しくなって。
思わずひとつの言葉を出した。


あたしはあなたが大好きです。




「ねぇユウ。今度一緒に蕎麦打ちしよっか?」
「は?何で急に。」
「蕎麦打ちマスター。」
「……」
「あれ、どうしたの?ユウ君。顔が赤いですよ?」
「うるせぇ!!少しは黙ってろ!」






こんなに可愛い彼が見れるのなら、たまには素直になろうかな。





あとがき。
第一弾!神田さんギャグ。照れた神田はすごい可愛いと思いまs(ry)
神田といえば蕎麦!!と自分で決めたテーマで書いてみました。気に入ってもらえると嬉しいです。
ここまで読んでくださった様、ありがとうございました!!



初書き。2008.09.21
修正。2008.10.20