知らないよね、
私がこんなにも苦しんでるってこと
私がいつも泣いてるってこと
だって、貴方はいつだってあの子に夢中だったから
「あっ!、探してたんですよ!」
ほら、また来た。貴方は私の所に来る、なのに
「リナリーの事・・・で相談したいんですけど、今大丈夫ですか?」
リナリーのことが好きなんだもんね?
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アレンにそう言われたのはついさっき。昼下がりの出来事だった。
私は前から、アレンの応援もしていたし、何よりもリナリーとアレン二人で幸せになって欲しいと思っていた。
でも、いつからかそう思うことが出来なくなった。
数か月前、ラビにこう言われたのがことの始まり。
「ってアレンと付き合ってんじゃねーんさ?」
何で?そんなこと言うの?
「へ?なに言うのラビ。私とアレンは友達!大切な大切な私の仲間なの。」
そう、アレンは大切な仲間。
「それ本当さ?俺、てっきり付き合ってたのかと思った…」
そんなことないよ、だってアレンは…
「はは、そう思った?残念だったねー、兎さん!」
リナリーが好きなんだから。
「兎じゃねーっての!」
私はこんな他愛のない会話で何かに気づいた。
あぁ、私アレンのことが好きなんだ、って。
その感情は、仲間でもなく、家族でもなく、ただ、ただ
愛するというもの
この感情に気付いてからはもう遅く、アレンとの会話はすっかりリナリーの話題だけだった。
彼女には好きな人はいるのか、自分のことをどう思っているんだろう、とか
その話題全てが私を傷つけて言った。
ドウシテワタシヲアイシテクレナイノ?ワタシハコンナニモスキナノニ
心の中で繰り返される呪文めいた言葉、この言葉がいつしか機械的なものに変わった。
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「〜早く此処にいる人間殺しちゃおうよ〜!」
「もう少し待って、ロード。もう少しであの人が来るはずだから。」
「あの人?ま、僕は先に戻ってるね!、無理しちゃだめだよ?君は僕等の大切な家族なんだから」
「分かったよ、ロード。すぐに追いつくから、ね?」
「分かったよぉ、」
そう言って、私の新しい家族は闇に消えて行った。
私は、4年前に黒の教団から抜け出した。そして伯爵と手を結び、今は黒の教団と対になるノア側の人間になった。
普通なら、神を裏切ったことで咎落ちになるはずだけれど私には何も起こらなかった。
そのため、今ではイノセンス、ノアの二つの能力を備えている。
私は、4年前から容姿は何も変わらない。
アレンと二人で話していたあの時。ラビと一緒に過ごしていた優しい時間。
容姿は変わらなくとも、時間が私を一人置き去りにしてる。
でも、こんなに辛いのも、もう終わらせてくれるだろう、大好きだったあの人が
「…!」
「やっと来てくれたんだね?アレン」
「、貴方は…どうしてっ!?」
アレンは泣きそうな顔で、私を見る。あの頃と何も変わらない、私の姿を。
「どうして、か。それが自分でも分からないんだよね」
「?どういうこと…ですか」
「ふふっ、それよりもさ、アレン身長伸びた?なんだか大人びて見える。」
「も…相変わらず…ですね。なんだか懐かしい」
そう言ってアレンは、4年前と何も変わらない優しい笑顔を私に向けた。
「?」
「ん?」
「僕にとっては…ノアになったもあの頃と変わらない大切な仲間なんです。」
「……うん、私にとってもアレンは大切な人だよ。だからさ、アレン。仲間として私から一つ、最初で最後のお願いがあるの」
「?なんですか」
「私を殺して?」
何処で、私は間違ってしまったのだろう
あの時、確かに幸せな日々を過ごしていたはず
教団っていう家族がいて、アレンがいて
幸せだったのに、何でこんなことになったんだろう
すべて悔いても、もう遅い
だからせめて、最後は大好きな人に終わらせてほしい
私が愛してやまなかった、貴方に
幸せになって欲しかった、貴方に
私の願いはただひとつ
私の分も、どうか幸せになってください
(ただ幸せな日々を送りたかったの、貴方の隣で)
あとがき。
久しぶりな短編がこんなに暗くていいのだろうか…
愛が歪んでしまった、的なのがストーリーテーマ。
儚くも永久のカナシの影響がかなり入ってます。
此処まで読んで下さった、様!ありがとうございました!
初書き。2008.12.21.Sun